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文様または景色
窯元または作家名
産地(何焼?)
銘
購入店名と価格 |
解説 |
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銀河釉(緑)稜花
中尾哲彰
佐賀県
無銘(ただし箱付き)
渋谷区松濤の「松陶(まつとう)」
16200円 |
作家の中尾哲彰さんは1952年生まれというからまだ40代。本場中国で常設展示、米国デンバー美術館に17点も常設展示されることになったというから気鋭の作家ということなのだろう。独自の銀河釉というのは光沢のある緑釉の上にフラットな星がちりばめられた幻想的な景色だ。これはたまたま緑だが、他にも青、紫、黄色などさまざまな銀河釉を駆使して皿や茶碗を積極的に創作している。
これは正札では20,000円の値段が付いていた。けれど正月セールということで10%引き、さらに新年最初の客ということでさらに10%引いてもらった。ほんのわずかだが稜花形のへこみがある。箱から出した状態で長い間、置いておいたせいか、色が少し焼けてしまったような気がするのが残念。なおこれは土と石を混ぜて焼いたせっ器(JISでは漢字変換できないけど、火偏に石です)である。
(追補)
松陶の女主人には「せっ器=石と土を混ぜたもの」と聞いた憶えがあるが、その後、焼物メーリングリストで聞いたところでは、いわゆる土物でも水分を吸収しないものを基本的にせっ器と呼ぶらしい。だからといってこれがせっ器でないということにはならないけれども、一応、定義は訂正しておく。2000/9/19追補 |
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残雪釉
青龍窯
山形県(平清水焼)
「青龍窯」(はんこ)
山形県上山温泉のホテル売店
7000円 |
平清水焼というのはそれほどメジャーではないが、現在でも6軒の窯元が営業している。そのなかでも青龍窯は地元の土を用い、その土に含まれる鉄分が白釉の中に小さな斑点を作り出す独自の景色を発明し、これを残雪(釉)と名付けている。残雪は梨青瓷(なしせいじ)とならんで青龍窯の定番であるとともに、平清水を代表する景色と私は思っている。淡いブルー味を帯びたマットなグレーがきわめて上品で、たたずまいの典雅な器だ。正直なところ、実物を見るまでは大した期待もなかったが、その美しさに驚いてしまった。青龍窯さん、ごめんなさい。
(追補)
私は青龍窯といえば梨青瓷という固定観念があったためにこの景色を一も二もなく梨青瓷と信じ込んでいた。ところが東北地方の焼物を専門とする鎌倉「れんげ堂」の飯嶋貴之さんにメールで問い合わせてみると「梨青瓷は光沢ある青釉、マットな白釉は残雪」と教えていただいた。残雪という名は窯元の北にあり、土を採取する千歳山という山の残雪を思わせるからだという。ロマンチックな命名ですな。
飯嶋さん、ご教示ありがとうございました。2000/6/14追補 |
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黄交趾唐草文
武内秀峰窯
京都府(清水焼)
「秀峰」(呉須染付)
京都清水坂・朝日堂
22500円 |
私の持っているなかで、いちばん派手かつ高価なのがこの黄交趾唐草文だ。石英分を含んだ釉薬を用いて光沢あるガラス状に焼き上げるのが交趾手。交趾とはヴェトナム北部トンキン湾あたりの旧称だが、なぜこれを交趾手というのかよく判らない。ヴェトナムの焼物は紅安南などとてもシンプルなものなのだが‥‥。
交趾は全体を釉薬で覆うのでムラが出やすく、つまり歩留まりが低いので焼く人は年々減っているということだ。その中でも黄交趾は比較的、歩留まりが高くよく見かける。他に紫交趾、青交趾、浅葱交趾などがある。
秀峰窯(武内秀峰さん)は交趾手に定評があり、おそらく東京で見られる交趾の半分は秀峰窯ではなかろうか。むろん交趾手というのは技法の一つであるから必ずしも清水ばかりとは限らないのだが、絵柄の縁を線状に盛り上げる「いっちん」を施すのは秀峰窯をはじめとする清水の特徴ではないかと思う。
このカップ&ソーサーにはちょっとした後日談がある。実は朝日堂でこれを手に入れたあとカップの底の銘を見てみると「秀峰」の文字。その頃から武内秀峰さんの名声を知っていたから多分そうだろうとは思いつつ、確かめようがなかった。
また渋谷区円山町の「四季彩」の主人には「交趾手は石と釉薬の熱膨張率が異なるためにいきなり熱湯を注ぐと簡単に割れる」と聞いていたので実際に使うことはできなかった。言ってみれば正体不明のまま、棚の奥のお飾りになっていたわけである。
ところがつい最近になって秀峰窯がWebサイトをたちあげた。そこで早速メールで問い合わせると画像を送ってくれとのこと。全体写真と銘の部分のクローズアップ写真を見てもらい、ようやく「うちの作品に間違いありません」とのお墨付きをえた。さらに「確かに石と釉薬の熱膨張率は異なりますが、実用食器を作っている以上、熱で割れるようなものはお出ししません。むしろどこかにぶつけたりという衝撃にご注意ください」ということだった。実はこれを買ってからすでに3年になるのだが、ようやくアイデンティティが確立した感じで安心したのだ。
なおこのカップ&ソーサーを手に入れるに当たっては京都陶好堂の井原さん、朝日堂の伊東さんに多くのお力添えをいただいた。ありがとうございました。それと秀峰窯の武内真司さん、いろいろとご教示をいただき、ありがとうございました。
ソーサーもキレイだよ。
(追補)
秀峰窯の武内真司さんからメールをいただいた。そのなかで交趾釉はやはりヴェトナムのものだとご教示いただいたので追加しておく。
2000/6/12追補
(追補2)
交趾手の色の呼び方について。上に書いた交趾釉の色の呼び名は、このカップ&ソーサーの地の色に使われているのが黄交趾、ソーサーの右奥に見える紫色の花が紫交趾、葉っぱが青交趾、カップの右端にチラリと見えているのが浅葱交趾である。カップ正面の赤っぽい花と蔓は「飴」と呼ぶそうだ。ただし飴交趾というのはない。地の色に使われることがまずないからだということである。これも武内真司さんからのご教示。
いつもありがとうございます。
2000/6/27追補 |
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パテルナの風
セラミック藍
岐阜県(美濃焼)
「eclectique kai kai」(プリント)
銀座三越
各1800円 |
私が持っているなかで自分でもよく分からないのがこのペアセットだ。
‥‥いや分からないというのは語弊があるかな。見てのとおり、外側がロイヤルブルーとブラックの無地、内側に幾何学模様のパターンを描いたカップ&ソーサーに違いないのだから。ただ‥‥何というか、この器と自分との距離感がうまく掴めないでいる。
パテルナというのはパターンのイタリア語(スペイン語)形だと思うのだが、そのパターンが大正時代のアールデコ調の、しかも未消化なままにどこかの田舎町のカフェの檜の柱に刻みつけられたような雰囲気で、何を意図しているのかよく分からない。eclectiqueというのも「折衷主義」という意味だし‥‥。
実はこれを買ったときは「オッ、美濃にしてはずいぶん変わったカップだな」と軽い気持ちだったのだが、帰ってきて包みを開けてから結構悩んでしまった。
ところでこれを買うとき、たまたま近くにいた販売員の人に声をかけ、いろいろと窯元のことなど訊ねてしまった。要領を得ない返事が続くので「?」と思って名札を見たら、たち吉の派遣販売員の人だった‥‥(^ ^;。そりゃ判らないよね、美濃のことなんか。失礼しました。 |
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色絵富貴文
有田物産株式会社
弥左衛門窯
佐賀県(有田焼)
「弥左ヱ門」(呉須絵付)
杉並区荻窪・ルミネの
「古伊万里」
6000円 |
んー、何というか、しばらく買っていなかったので無性に何かほしくなって衝動買いしたもの。だから特別な思い入れはないのだが、有田の色絵付としては赤が渋くて落ち着いた色調だと思っている。これも古荻窪ルミネでエレベーターを待っていたときに見つけたのだが、こいつに目が行ったということは、その渋い赤が特に目に鮮やかに映ったということだろう。まあ、好きでも嫌いでもないが、客観的に「よい器」という評価といえばいいのかな。
この弥左ヱ門窯という窯元は有田オンラインにホームページを掲載している有田物産株式会社と同一のものだと思うが、伝統的な窯元名と近代的な社名の会社がどのような経緯で一体化(もしくは合併(^ ^;?)したのかよく判らない。ただカップの底の銘が染付ではなく上絵であるところをみると、窯元の責任者(つまりは第××代弥左ヱ門さん)が自分の名前で世に出すことを許可したということも考えられるわけだし、絵付けの技量も非常に優れている。
よい買い物をしたと思う。6000円は安いと言える。
(追補)私の質問メールに対して有田物産株式会社の松本さんから返事をいただき、諸事情が判明したので追加しておく。
弥左ヱ門窯は1860年に初代松本弥左ヱ門さんが開いた窯(現在六代目)。のち一族の松本静二さんが海外との貿易会社を設立し、商品が大量に必要になったため、この窯元を買収したということである。したがって「弥左ヱ門窯」の名称は一種のブランドネームである。現在はメーカーなので「有田物産」という名前は堅すぎて社名変更したいという話だった(^ ^)。富貴果文という文様名も松本さんから教わったもの。松本さん、ご教示ありがとうございました。2000/6/9追補
(追補2)アイデンティティが確立されるとこの器に対する理解度が深まったような気がして、どんどん好きになっていく私がいます。とても素敵な器だなあと今は思っています。2000/6/12追補 |